ばあちゃん家  ~Scene 8~

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僕がまだ小さい頃は、田舎に帰省した時に寝泊まりする叔父さんの家とは別に、離れにはまだ祖父ちゃん祖母ちゃんの家が建っていた。それは茅葺屋根でとても古い木で出来た、まるで大正時代の家だった。その頃はもう祖母ちゃんも叔父さんの家に住んでいて、あまり使っていないようだったけれど、僕達が行った時には時々その古い家を開けてもてなしてくれた。
木戸を開けると土間が広がり、奥には竈(かまど)があった。薪をくべる五右衛門風呂、手動の脱穀機、それから掘った穴に板を渡しただけの便所は怖くてしかたなかった。ほんとにどこかの記念館で見る昔の暮らしそのままだ。
ある時祖母ちゃんがその竈で餅を焼いてくれた。煤けて真っ黒になった茶箪笥から醤油と砂糖を出してきてお皿に盛ってくれた。僕はその砂糖の袋の中に何匹か蟻がいるのを見逃さなかったけれど、何事も無かったようにありがたく食べた。
美味しかったよ、祖母ちゃん!


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