夏の終り ~Scene 19~

高校生の頃になると、僕はもう夏しか興味がなくなっていた。 だから夏の終りが近くなってくると、淋しさで胸が押しつぶされそうだった。 次の夏までの長い時間を考えると、ほんとに気が狂いそうな気がした。 今年ももうすぐ夏が終わる。 夏色の汽車にのって帰ろう…
コメント:0

続きを読むread more

夏の幻影  ~Scene 18~

あの夏の日、二人で立ち寄った海の見える見晴台。 今、一人ぼっちで立ってみる。 海も空も太陽も風も、あの時となにも変わらない。 あれから長い歳月が過ぎたなんて嘘のように 僕を包むすべてのものが、あの夏にタイムスリップする。 だけど、いくら追いかけても、僕の隣には誰もいない。 わかってはいるけれど 次の夏もきっ…
コメント:0

続きを読むread more

蝉  ~Scene 17~

小さい頃の或る夏の日。 僕はいつものように虫かごと虫捕り網を持って、森の中を歩いていた。 その日、僕は一匹のアブラゼミを捕まえた。 そのアブラゼミは雌だったのだが、網から手に取ったその瞬間、 僕の手の中に小さな卵を産み落とした。 なんだか僕はとても申し訳ない気持ちになってしまい、 すぐに蝉を放ち、その卵をそっと木…
コメント:0

続きを読むread more

17歳の夏  ~Scene 15~

17歳の夏休み、初めて彼女と旅行に行った。 行先は小さい頃に何度か行ってとても海が綺麗だった九十九里浜にした。 男の僕は平気だったけど、当然彼女は親が許可してくれるはずもないので、 友達に協力してもらって、親には内緒で行くことになった。 横浜からは電車とバスを乗り継いで、結構な時間がかかる。 きっとその距離こそが、…
コメント:0

続きを読むread more